保険契約と禁止行為
保険業法第300条について
第300条 保険会社、保険会社役員(生命保険募集人および損害保険募集人である者を除く。)、生命保険募集人、損害保険募集人または保険仲立人もしくはその役員もしくは使用人は、保険契約の締結または保険募集に関して、次に掲げる行為をしてはならない。
1.保険契約者または被保険者に対して、虚偽のことを告げ、または保険契約の契約条項のうち重要な事項を告げない行為
例
- 損金計上できない保険でありながら、損金計上できるとして契約を勧めること。
- いつ解約しても払い込んだ保険料相当額を返還すると言ったり、契約すると融資を受けることができると言って勧めること。
- 保険金・給付金を支払うことができない場合があることを説明せずに、契約を勧めること。
2.保険契約者または被保険者が保険会社に対して重要な事項につき虚偽のことを告げることを勧める行為
例
- 職業が危険業種に該当する場合、加入制限があるので、制限の無い他の職種を告知するように勧めること。
3.保険契約者または被保険者が保険会社に対して重要な事実を告げるのを妨げ、または告げないことを勧める行為。
例
- 被保険者に既住症や現症があるのを知っていながら、告知書を代筆して健康であると記入してしまうようなこと。
- 診査の際に診査医に既住症、現症の告知をしないように被保険者に勧めること。
4.保険契約者または被保険者に対して、不利益となるべき事実を告げずに、既に成立している保険契約を消滅させて新たな保険契約の申込みをさせ、または新たな保険契約の申込みをさせて既に成立している保険契約を消滅させる行為
例
- 契約者に解約控除があることを説明せず、既契約を消滅さえることによって、新契約の申込みをさせること。
- 有配当商品の特別配当請求権等を失う場合があることを説明せずに解約させ、新契約の申し込みをさせること。
- 健康状態により、新しい保険に加入できない場合があること。
5.保険契約者または被保険者に対して、保険料の割引、割戻しその他特別の利益の提供を約し、または提供する行為
例
- 見込み客に対し、募集手数料の一部の提供を行うことを条件に契約を勧めること。
- 契約者に対し、社会通念上過度な「お返し」を行うこと。
6.保険契約者もしくは被保険者または不特定の者に対して、一の保険契約の契約内容につき他の保険契約の契約内容と比較した事項であって誤解させるおそれのあるものを告げ、または表示する行為
例
- L型終身の契約者に対し、毎更新時に保険料がアップするから損である等のデメリットのみを強調すること。
- 保障内容の仕組みなどを説明せずに保険料だけ比較して他社より安いと言うようなこと。
7.保険契約者もしくは被保険者または不特定の者に対して、将来における契約者配当または社員に対する剰余金の分配その他将来における金額が不確実な事項として大蔵省令で定めるものについて、断定的判断を示し、または確実であると誤解させるおそれのあることを告げ、もしくは表示する行為
例
- 変額保険の運用利回りについて、将来において確定的である旨の説明を行うこと。
8.保険契約者または被保険者に対して、当該保険契約者または被保険者に当該保険会社の特定関係者(第百条の三に規定する特定関係者および第百九十四条に規定する特殊関係者のうち、当該保険会社を子会社とする保険特殊会社、当該保険特殊会社の子会社(保険会社を除く。)および保険業を行う者以外の者をいう。)が特別の利益の供与を約し、または提供していることを知りながら、当該保険契約の申込みをさせる行為
9.前各号に定めるもののほか、保険契約者等の保護に欠けるおそれがあるものとして総理府令・大蔵省令で定める行為
例
- 五の保険料割引等の禁止規定を免れる行為を行うこと。(例えば、紹介料と称して対価性の無い金品を提供すること)
- 保険契約者または被保険者を威圧的な言葉や態度で強要したり、あるいは業務上の地位を不当に利用して保険契約の申込みをさせ、あるいは既に成立している保険契約を消滅させること。
- 契約者などに対して、週刊誌等客観性のないものを利用し、他者の信用力や支配能力が劣っているとの説明を行うこと。